クルミの木をくり抜いて作られた木靴。床を鳴らすその音を、男は気に入っていた。いつかの世界で、あの人が良い音だと言ってくれたから。だんだんと薄れていくあの人の記憶。あの人への気持ちを忘れないために、どれだけ世界を繰り返しても、男はその木靴を履き続けた。
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