考古学者の知見 1

歯車の遺跡の調査に向かっていた私は、偶然にも、おそらく人工的と思われる横穴を山間部で発見した。
穴が崩れないようにその壁と天井を囲う石はひび割れて崩れているところも多く、作られてから長い年月が経過していることがわかった。穴の地面には太い溝が掘られた石が敷き詰められていて、おそらくこの穴が水路として使われていたことを物語っていた。山の水を麓まで届けるための水路だろうか。しかし、この地域は近くに川もあり、わざわざ山間に水路を作らずとも事足りるはずだ。いったい何のために?
水路にはところどころ古代文字が書かれている。はるか昔に戦争によって滅びたという古代人の技術力に私は畏怖すると同時に、彼らの行動の不可解さに薄気味悪いものを感じたのである。

入手元:地下水路

考古学者の知見 2

歯車の遺跡の中には誰も入れたことがないという。なぜなら入口が見当たらないからだ。考えられる可能性は二つ。入口がそもそも存在しないか、何らかの方法によって入口が現れるかだ。
しかし、監獄にさえ扉があるというのに、入口のない建物に何の意味があるのだろうか? それではただの石の塊だ。するとやはり入口が隠されていると考えるのが妥当だろう。壁の歯車に書かれた古代文字を完全に解読することができれば、何かがわかるかもしれない。しかし、古代文字の解読はまだ誰もできていない。ううむ。これは、八方塞がりかもしれない。

入手元:歯車の遺跡

考古学者の知見 3

嵐とはいえ、どこかの岸に流れ着いたことは幸運だった。とにかく夜を越すために、まるで人気のない古びた灯台に登ると、火が焚べられていた。床には埃が分厚く積もっており、誰も管理する者などいなさそうに見える。不気味だ。
しかし、火があるというのはありがたい。服を乾かし、体を温め、ずぶ濡れのパンを齧ると少しだけ活力が湧いてきた。見渡すと、ところどころに古代文字らしき文章が刻まれている。朽ちた本棚には、湿気た本がいくつも並んでいた。おそらくは、古代人の建造物だろう。するとこの燃え続ける火も、古代人の遺物ということか。
私は今、いったいどこにいるのだ。朝日が登ったら周囲を見渡してみよう。ここが見知った土地の海岸だと良いのだが……。

入手元:消えずの灯台 No.13


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Last-modified: 2022-01-25 (火) 01:42:40
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