樹海に眠れる王の魂

新大陸の海

開拓者の野心
この海の彼方に、新大陸がある。誰も見たことがないというのに、なぜそんな噂が立ったのかはわからない。
だが、万が一にも本当ならば、俺が見つけてやる。大陸を支配する皇帝となり、この世界の常識を覆すような理想郷を作ってやるんだ。
新米冒険者の気づき 10
何事にも「最初にやった人がいる」っていうことに気づいたんだ。僕がこうやって冒険できるのも、かつて初めて船を作った人がいて、かつて初めて新大陸を見つけた人がいて、かつて初めて新大陸までの航路を確立した人がいるんだ。そうやって人類の歴史は、積み重ねられてきたんだ。
僕も……何かの初めての人になれるかな?
竜追いテレムの航海日誌 26
さて、新たな旅が始まったワケだが……次の目的地はシンタイリクらしい。シンタイリクって最高の響きだよな。こう、胸の内側にズドンと来る、効く~って感じの単語だぜ。

古代の水葬場

船乗りの本望
仲間の死体を海に放るなど野蛮で無情だ、と非難してくるうるせえヤツもいる。
だがな、俺たちにとって水葬は本望なんだ。棺桶に閉じ込められて土の下に埋められるくらいなら、そのまま海に還りてえってコトさ。わかったか?
考古学者の知見 5
古代人が如何なる風習を有していたのか、判明している事実は非常に少ない。長年研究を続ける考古学者として恥ずべきことかもしれないが、むしろ私は残されている研究余地の広大さに、感嘆を禁じ得ない。
また、既に判明している少ない事実から帰納的に導けることもあるはずだ。特に興味深いのは、古代人たちが多様な葬儀形態を有していたことだ。地域によって異なる風習を持つらしい彼らを古代人と一括りに論じること自体が、初めから間違っていたのかもしれない。
水底の呼び声
海の真なる深さを知らず、その表層を漂う者たちよ。願わくば無知を貫き、まやかしの好奇心に騙されたまま、輝きの大地を目指せ。
真実を知ってしまえば、人の子の魂は恐怖によって瓦解する。そして暗き水底で死に続けるのだ。我々と永遠に--。
竜追いテレムの航海日誌 27
水葬なんて、俺は勘弁だぜ? 死んでからも魚や魔物に喰われ続けるなんて最悪中の最悪だろ。
どうせだったら、俺の偉大さが伝わるようなでっけえ銅像が建てられて、その下に埋葬して欲しいモンだよな。

フイユルージュワイナリー

ウェイトレスの不満
数日前から、騎士らしき人たちが滞在しているの。ワイナリーなのにワインは飲まないし、かといって何をするわけでもないし、ずっと険しい顔してるし、話しかけても無視するし……。
気が散るしなんか怖いから、早くどっかいってほしいんだけど……。
トルリ公爵の品評
今年のシャトー・フイユルージュのヌーヴォーを一言で表現すれば、「15年前の傑作に並ぶかそれ以上の素晴らしい出来栄え」だろう。今季の天候は例年になく穏やかだったのだろう。太陽と風に恵まれた豊満で甘酸っぱい果実が目に浮かぶようだ。
ディープルビーにもかかわらずなぜか透き通るような色彩、苦みと塩味を感じる想定外のアタック、ベルガモットとアーモンドが混じる複雑なフレーバー、これほどまでにエレガントでバランスの良いストラクチャは私の若い頃の淡い思い出に--(以下略)。
見習い交易商人のメモ 10
ワインを売るときに大切なのは、味をとにかく美辞麗句で装飾して最高に珍しい感じを演出することだよ。残念だけど、本当に味の違いがわかる奴なんて、ほとんどいないのさ。だから、こっちが先にそれっぽい感想を与えてやれば、安物だったとしても満足する。騙しているわけじゃないさ。結果としてはウィンウィンなんだからさ。
……ただし、これが通用するのは"偽物"だけだ。"本物"の舌を持つ奴には効かないから真摯な商売をするんだよ。わかったね?
グルメな命令書 11
普通のシャトー・フイユルージュなんてもう飲み飽きたわ! でも、葡萄島では昔、黒葡萄の果皮と種を除いた果汁だけで白ワインを作っていたことがあるらしいじゃない! 白いシャトー・フイユルージュなんて矛盾した名前だけど、きっと飲んだことのない味がするはずよ!
まだ残されてないか、早速確かめてきなさい! もし残されていなかったら、新しく白ワインを作るように男爵に命じてきなさい! 男爵が見つからなかったら、見つかるまで探すのよ!
とある占星騎士の信念
俺は"豪運"でも"豪傑"でもねえ。理想を追い続けることは、そういう選ばれし人間にしか許されねえんだよ。だから……俺は船を降りた。持たざる者である俺にできることは、泥臭く努力し、俺自身の小せえ力で為し得る何かをひたすらに探し続けることだ。
未だに占星術に興味なんてねえが、風の扱いになら自信がある。天職だと思ったさ、少なくともバカみてえな理想に酔った船乗りよりかはな。
透明男爵の戦略
優れたワインは、たゆまぬ努力と献身によってのみ生まれ得る。そうして生まれた世界最高のワインの価値をさらに高めるために、私は表舞台に一切姿を見せず"透明"になることにした。醸造家がミステリアスであるほど、その者が生んだワインの味に興味が集まる。
人類とは、謎を解明したがる生物だ。その性質を私は存分に利用することにした。心血を注いで生んだ最高のワインに、最高を超えるブランド価値をもたらすために。
竜追いテレムの航海日誌 28
船乗りは、バカばっかりだ。酒があれば後先考えずに飲みまくるし、すぐに喧嘩するし、給料は一日で使い込む。ワイナリーなんかにこいつらを連れて行ったらどうなるかなんて、わかってたはずだ。
おい……こいつら、爺さんから渡された金が無限にあるもんだと思ってないか……?

いかずち大海溝

リヴァイアサンの胃袋

占星帝国ガガリオン


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